Healthcare journal

2024.07.02 Tue
まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック https://www.makikoclinic.com/

便に血がまじったら

■血便とは・・・
便に血が混じっている状態であり、目で見てわかる肉眼的血便と、見た目ではわからないほど微量の血液が混じっている顕微鏡的血便があります。顕微鏡的血便は、便潜血検査を受けることで発見されます。

血便があるというのは、口から肛門までの消化管のどこかから出血しているということです。大腸がんや難病指定されている潰瘍性大腸炎やクローン病で生じている可能性もありますので、血便があった・便潜血検査陽性を指摘された場合には、できるだけ早く消化器内科を受診して、原因を確かめることが重要です。

■血便の色と量
血便の状態は、出血が消化管のどこから生じているかによって変わります。口に近い場所で出血している場合は、消化液の影響や血液中の鉄分の酸化によって黒っぽく変化します。逆に肛門に近い場所から出血している場合には、赤く鮮やかな血液が便に付着したり、血液だけが出たりすることもあります。全体が赤っぽい場合は小腸に近い大腸からの出血が疑われ、黒くて粘り気のあるタール便は、胃など上部消化管から出血している可能性があります。

具体的な血便の状態がわかれば、その時点である程度、可能性の高い疾患を絞り込むことができます。血便があると慌ててしまうこともあると思いますが、できれば状態や色などをしっかり観察して医師に伝えていただくとスムーズな診断に役立ちます。

なお、血便で大量の出血を起こすことはまれで、いぼ痔の内痔核による血便では、便器が赤く見えるほど出血することがありますが、表面に薄く広がっているだけで出血量はそれほど多くありません。ただし、出血量が少なくても続くことで貧血になってしまうことはあります。血便があり、頻脈や息苦しさ、めまい、動悸などの貧血症状が伴う場合は、速やかに受診してください。

■原因
切れ痔やいぼ痔(内痔核)による出血もありますが、大腸がん、胃がん、潰瘍性大腸炎・クローン病など様々な消化器疾患の症状として血便が生じている可能性があります。痔があるからと便潜血検査が陽性でも精密検査を受けずに、大腸がんを進行させてしまうこともあります。血便があった場合は、早めに消化器内科を受診して原因をしっかりと調べましょう。

■検査と診断
血便の状態などを問診でくわしく伺った上で、必要な検査を行って診断します。

切れ痔・いぼ痔(内痔核)の診察
切れ痔・いぼ痔(内痔核)の診察痔が原因で血便の症状を起こすことは少なくありません。血便の状態から痔などの肛門疾患が疑われる場合にはこうした疾患の有無をしっかり調べます。診察台に横向きで寝ていただき、下着は太ももの中程まで下げていただければ大丈夫です。脱衣の必要はありません。医療用の麻酔ゼリーをたっぷり塗って、専用の器具による肛門内の診察を行います。切れ痔・いぼ痔(内痔核)が発見された場合には、治療方針を患者様としっかり相談して決めています。

内視鏡検査(胃カメラ検査・大腸カメラ検査)
当院では微細な病変の発見ができる高度な最新の内視鏡システムを導入して、内視鏡専門医が丁寧に検査を行っています。検査中に組織を採取して確定診断が可能であり、出血している場合は止血処置もできます。鎮静剤を使う楽な検査も可能です。

血便があり、様々な検査を行っても原因がわからない場合もあります。小腸からの出血が疑われる場合には特殊な検査が必要になりますので、連携している高度医療機関をご紹介しています。

■血便があったら
進行すると命にかかわる可能性がある胃がんや大腸がんが隠れていないか、精度の高い検査でしっかり調べることが重要です。血便があっても「痔だから」と精密検査を受けずにいてがんが進行してしまい、心身への負担が大きい手術が必要になってしまうケースは珍しくありません。特に胃がんや大腸がんはかなり進行してもそれほど強い症状が現れず、血便も時々しか起こらないことがよくあります。1度でも血便があった場合や、便潜血検査陽性を指摘されたら、できるだけ早く消化器内科を受診してください。

こんな症状があったら、早めに消化器内科を受診してください

・便に血が混じっていた・付着していた
・便が黒い・赤黒い
・排便後拭いた紙に血が付着していた
・排便時に、肛門から血がポタポタ出た
・便秘と下痢を繰り返す
・残便感がある
・便に粘液が付いていた
・便が細くなった
・腹痛がある

船越真木子(ふなこし・まきこ)
京都のまきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック院長

2005年神戸大学医学部卒。基幹病院や京都大学医学部附属病院の勤務を経て、2021年に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)を開院。がん罹患数の第一位である大腸がん、第三位である胃がんを早期発見するため、苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供している。ミッションは『人生を最高に楽しめる体と心を支える』。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医

まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック
https://www.makikoclinic.com/

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