Healthcare journal

もしかしてその症状、口と喉が原因?実は知らなかった健康の秘密とは
2024.07.22 Mon
吉川歯科医院 吉川 涼一 もしかしてその症状、口と喉が原因?実は知らなかった健康の秘密とは http://www.yoshikawa-dental.com/

なかなか治らない病気や症状の原因が、実は口の中や喉の奥にある可能性があるということをご存じでしょうか。病気や症状の原因は、症状の出ている場所にあるとは限りません。違うところにある原因を突き止め、それを治すことで今までどこの病院に行っても治らなかった症状が治ることがよくあります。

この考え方は「病巣感染」と呼ばれます。病巣感染とは、体のどこかに限局した慢性感染病巣があり、それ自体は無症状か軽微な症状に過ぎないものの、これが原因となって原病巣とは直接関係のない遠隔の臓器に障害を起こすことを指します。

この概念は2000年以上も前の医師・ヒポクラテスの時代から存在したといわれていますが、エビデンスが不足しているため、多くの医師に否定されてきました。実際に治療効果が見られるケースが増えてきたことから、徐々に病巣感染の考え方を取り入れている医師が増えてきており、喜ばしいことだと思っています。

病巣感染のもととなる慢性病巣は、口の中と喉に多く見られます。
口の中:大きなむし歯、中等度以上の歯周病、根尖病巣、親知らず、歯性上顎洞炎
喉:慢性副鼻腔炎、慢性扁桃炎、慢性上咽頭炎

表面的な治療(対症療法)ではなく、根本的な原因を解決することで、今までなかなか治らなかった病気や症状が改善する可能性があります。これは、患者さんにとっては治療の選択肢が広がることにもなるのです。

またその他にも、歯科治療で詰め物や冠などに使われる歯科用金属が原因で起きる歯科金属アレルギーや、咬み合わせ異常が原因の咬合関連症という症状も存在します。これらはいずれも病気・症状の原因がその場所ではなく、全く違うところにあるということが共通点です。

歯科と耳鼻科が連携してこの治療にあたれば、患者さんにとっては非常に有益なことだと思いますが、実際にはその連携がうまくいかないことが多いのです。大学病院や総合病院でもスムーズな連携は難しいのが現状です。

そこで私が提案したいのは、歯科大学病院でこの治療をしていただけないかということです。歯科大学病院ならこの連携はスムーズに、そして効果的に行われると期待できます。

なかなか治らない症状や原因不明の症状があるときには、慢性病巣(病巣感染)、歯科金属アレルギー、咬み合わせ異常を疑ってみることをおすすめします。
こういう治療法があるということをぜひ全国の患者さんに広くお伝えしたいと思っています。

当院ホームページとともに、著書『その病気、診方を変えれば治ります』『金属アレルギーと歯科治療』(ともに現代書林)、堀田 修著『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』(あさ出版)をご覧ください。

吉川歯科医院
院長 吉川 涼一
http://www.yoshikawa-dental.com/

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