日本では戦後、大腸がんの罹患率・死亡率が大幅に増加しています。最新のデータによれば、大腸がんによる死亡者数は全てのがんの中で第2位、罹患数は第1位となっています。
一方、アメリカでは1970年から2016年の間に大腸がんの死亡率が53%も減少しており、日本とは対照的な状況です。2017年のデータを見ても、日本で大腸がんにより亡くなった人の数は約5万681人、アメリカでは約5万260人とほぼ同数ですが、日本の人口はアメリカの4割ほどしかないにもかかわらず、死亡者数がアメリカを上回っています。
日本で大腸がん患者が増加している理由の一つとして、「食の欧米化(高脂質、低食物繊維)」が指摘されています。しかし、日本の食事が欧米化しているとはいえ、欧米よりも健康的な食事をしていると思われる方も多いでしょう。
実際、アメリカでは保険制度の改正などにより、大腸がんのスクリーニング検査が非常に受けやすくなっています。2015年には、50〜75歳の62.9%が実際に検査を受けており、その中には内視鏡検査も含まれています。
一方、日本での大腸がん検診は主に「便潜血検査」が行われています。この検査は簡便で安価なため、日本で広く実施されていますが、40歳以上の受診率は男性47.8%、女性40.9%にとどまっています。
アメリカでは、45~75歳を対象に年1回の便潜血検査が勧められているほか、10年に1回の大腸内視鏡検査や5年に1回の大腸内視鏡検査、5年に1回の大腸CT検査なども推奨されています。特に大腸内視鏡検査の受診率は61%と高く、検診で発見されたポリープを除去することで大腸がんの予防に繋がっています。
大腸がんの罹患率が増加している今、検診の重要性がますます高まっています。大腸カメラ検査に対して抵抗感を持つ方も多いかもしれませんが、技術の進歩により、以前よりも事前の準備や検査自体が改善されています。ぜひ、定期的な大腸カメラ検査を検討してみてください。
あさひの森内科消化器クリニック
院長 福田 頌子
https://sunrise-woods-clinic.com/