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出産で歯がボロボロになるのは本当?原因と注意点を解説
2024.08.20 Tue
Lily Smile Dental Clinic 出産で歯がボロボロになるのは本当?原因と注意点を解説 https://lilysmiledc.com

「出産すると歯が1本なくなる」「赤ちゃんにカルシウムを取られて歯がボロボロになった」という話を聞いたことはありませんか?昔からよく言われていますが、これは本当なのでしょうか。今回は出産と歯周病のリスクの関係性について解説していきます。

出産をすると歯がボロボロになる?
「出産をするとカルシウムを奪われて歯がボロボロになる」という噂自体に科学的根拠はありません。しかし、実際に出産回数が多い女性の方が歯を失っているという研究結果も存在します。なぜ産後は歯がボロボロになりやすいのでしょうか。

出産で歯がボロボロになるといわれる原因

妊娠による食生活の変化
妊娠中はつわりの影響で食生活、特に食の好みが変わりやすいため、それに伴って虫歯や歯周病になるリスクが高まります。主な食生活の変化には以下があります。
甘い食べ物:糖分により虫歯になりやすくなる。
すっぱい食べ物:口内が酸性になり、虫歯のリスクが高まる。
間食の増加:口内に食べ物が残る時間が長くなり、虫歯になりやすくなる。

唾液の分泌量の減少
妊娠中はホルモンバランスの変動や精神的なストレスが原因で、唾液の分泌量が減少しがちです。唾液には口内の清掃や殺菌といった重要な機能があり、唾液が減少すると細菌の増加を促し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

妊娠性歯肉炎
妊娠中は「妊娠性歯肉炎」という歯肉炎に注意が必要です。この時期、女性の体は妊娠に適応するため、プロゲステロンとエストロゲンという女性ホルモンの分泌が増加します。これらのホルモンは歯周病菌や虫歯菌の栄養源となるだけでなく、歯肉の血流にも影響を及ぼします。その結果、通常よりも歯周病にかかりやすくなり、病気の進行が早まる可能性があります。

免疫力の低下
胎児は母親の身体にとって「異物」と見なされることがあります。そこで作用するのが、胎児を攻撃から保護する母親の免疫システム「免疫寛容」です。この免疫寛容の作用で、妊娠中の女性は通常より免疫力が抑制され、感染症にかかりやすくなります。これにより、虫歯や歯周病に対する抵抗力も低下し、歯の健康が損なわれるリスクが増加します。

不十分な歯磨き
妊娠期間中、つわりやその他の体調不良により、適切な歯磨きが難しくなることがあります。出産後も、新生児の世話に忙しくなるため、歯のケアが後回しにされがちです。このような状況は口内の清潔さを損ない、細菌の増殖を助ける環境を作り出します。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まることになります。

虫歯は赤ちゃんに移る?

母親が虫歯だった場合、赤ちゃんに影響はあるのでしょうか。

出産時:
妊娠中の母親が歯周病に罹患している場合、早産や低体重児を出産するリスクが増加するとされています。妊娠中の歯周病は放置せず、適切なケアを行うことが重要です。

出産後:
赤ちゃんが生まれた時、口内には虫歯菌が存在していません。虫歯菌は親を含む周囲の大人からの日常生活を通じて感染することが一般的です。
感染の主な原因には以下の行動があります。
・口と口でのキス
・赤ちゃんに口移しで食べ物を与える
・スプーン、箸、ストローの共用
・食べ物を口で冷ましてから赤ちゃんに与える
・同じタオルの使用
赤ちゃんの歯の健康を守るためには、使用する物品を分けたり、キスを頬にするなどの配慮が大切です。特に、奥歯が生え始める3歳頃までは虫歯菌の感染リスクが高いため注意が必要です。

まとめ

「産後は歯がボロボロになる」のは、妊娠・出産による身体の変化や日常ケア不足により虫歯や歯周病にかかりやすくなることが原因です。妊娠中や授乳中は赤ちゃんへの影響を考え歯医者に行くのをためらいがちですが、歯周病を放置するほうがリスクが高い場合もありますので、まずは歯医者に相談しましょう。これから妊娠を望んでいる人で歯周病を抱えている場合は、妊娠前に治療を済ませておくことをおすすめします。

Lily Smile Dental Clinic
院長 相原 弘一朗
https://lilysmiledc.com

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