Healthcare journal

2026.03.23 Mon

新生活で揺れるのは子どもより”親の心”。
モンテッソーリ教育者が教える「コントロールしない関わり方」のすすめ

入園や入学、クラス替えなど、春は環境が大きく変わる季節です。子どもが新しい世界へ踏み出すこの時期、「ちゃんと友達はできるだろうか」「先生とうまくやっていけるかな」「うちの子だけ浮いてしまわないだろうか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、実は揺れているのは子どもよりも”親の心”かもしれません。
そこで今回は、モンテッソーリ教育の視点から「母の心と身体を整えること」を伝えている藤田ななさんに、親の不安との向き合い方について伺いました。

「不安な親」が無意識にしていること

今、子育て世代の間で「新生活の不安」という言葉を聞かない日はありません。特にこの春は、子どもの新しい環境への適応を心配するあまり、「挨拶は?」「仲良くしなさいよ」と声をかけすぎてしまう親が増えています。
もちろん、子どもを気にかける気持ちは自然で大切なものです。しかし、モンテッソーリ教育の現場で子どもたちと向き合ってきた私の経験から申し上げると、その不安が強くなるほど、私たちは無意識のうちに”コントロール”しようとしてしまう傾向があります。その声かけの裏には、子どものためというよりも、”不安な自分を安心させたい気持ち”が隠れていることがあるのです。

モンテッソーリ教育が教える「子どもは自分で育つ力を持っている」

モンテッソーリ教育をご存知でしょうか。この教育法では、「子どもは本来、自分で育つ力を持っている」と考えます。この視点に立つと、大人の役割は先回りして整えすぎることではなく、その力を信じ、環境を整え、見守ることだと気づきます。これでは、どんなに良い声かけをしても、子どもの本来持っている成長する力を発揮させることは難しいでしょう。
そこで私が提案したいのが、「コントロールしない関わり方」です。言葉で指導するよりも、まず親自身の姿勢を見直すこと。これこそが、最もコストのかからない最強の子育て法なのです。

「態度で示す」ことの大きな影響力

単に「口出しをやめる」というわけではありません。子どもの成長を支えるためのカギは「大人が見本を示すこと」にあります。子どもは、大人の姿を無意識のうちに吸収します。挨拶を身につけてほしいなら、まず大人が自然に挨拶をする姿を見せる。友人関係を大切にしてほしいなら、親自身が人との関わりを大切にしている姿を見せる。言葉で整えようとするよりも、態度で示すことのほうが、実は大きな影響を与えます。

不安を整理する2つの視点

親の不安を整理する上で、私が現場で大切にしている視点を2つご紹介します。

1.「相手の課題」と「自分の課題」を分ける
友達関係は子どもの課題です。そのことで落ち着かなくなるのは、親である自分の課題です。
この区別をつけるだけで、どこまで関わるべきか、どこから見守るべきかの境界線が見えてきます。

2.「事実」と「感情」を切り分けて紙に書いてみる
「まだ友達ができていない」——これは事実。
「このまま孤立してしまうかもしれない」——これは不安という感情が生み出した想像です。
事実だけを見ると、「今はまだその途中段階」と捉えることもできます。大人になったとき、挨拶や人間関係が本当に身についていないでしょうか。”今すぐできないこと”を問題にするのではなく、”育っている途中”と見る視点を持つことで、心に余白が生まれます。

植物を育てるように、子どもを見守る

植物は、種から育てる時、土を準備して、肥料をやって、毎日お水をやって、そうやって待っていて初めて花を咲かせます。

「早く咲いて!」
「きれいな花を沢山咲かせなさい。」

そんなことを言っても植物は育ちませんよね。コントロールしない関わり方とはコントロールしない関わり方とは、放任することではありません。子どもが話したいときに、安心して話せる存在でいること。困ったときに、「どうしたい?」と問いかけられる余白を持つこと。それが、子どもの”自分で育つ力”を支える姿勢です。
まず整えるのは、子どもではなく「自分の心」
新生活は、子どもだけでなく親にとっても挑戦の季節です。不安になる自分を責める必要はありません。まずは、「私は今、不安なんだ」と気づくこと。子どもを変えようとする前に、自分の心を整える。その小さな意識の変化が、親子にとって心地よい春のスタートにつながっていくのです。

【筆者プロフィール】

藤田 なな(ふじた なな)
https://www.agoglobal.co.jp/
モンテッソーリ教育資格保有・二児の母。産後うつをきっかけに育児と向き合い、11年勤
めた市役所を退職。自身も育児ストレスから食いしばりでエラが張った経験を持つ。現在は
エラ張り専門の小顔サロンを運営。「母が身体を整えることで、家族関係は穏やかに変わる
」を軸に、サロンオーナーとして活動している。

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